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研究内容 (Research contents)

 地球型惑星を特徴づける岩石とそれを構成する鉱物は,それらが経験した物理・化学的環境の様々な変遷を,組織構造や化学組成の不均一構造として記録したタイムカプセルであると同時に,天然の実験室がつくりだした物理化学反応の生成物とみなすことが可能です.
 岩石鉱物学研究室では,陸上と海洋底から得られる地殻・マントル由来の岩石と鉱物から様々な情報を読み取り、さらに「リンク」をキーワードとして相互に結び付け,過去から現在そして未来,地球表層からマントルまでの大きな時空間スケールの上で地球の形成史を解明することを目指しています.

キーワード (Keywords)

  • 対象:沈み込み帯 (Subduction zones),地殻 (Crust), マントル (Mantle),変成岩 (Metamorphic rocks),変形岩 (Deformation rocks),超苦鉄質岩 (Ultramafic rocks),深成岩 (Plutonic rocks), 捕獲岩 (Xenolith),エクロジャイト (Eclogite),マイロナイト (Mylonite), 造岩鉱物 (Rock forming minerals),ダイヤモンド (Diamond),流体包有物 (Fluid inclusion), 炭質物 (Carbonaceous materials)など
  • 地域:三波川変成帯 (Sanbagawa metamorphic belt),領家変成帯 (Ryoke metamorphic belt), 幌満カンラン岩体 (Horoman peridotite body), 早池峰ー宮森超苦鉄質岩体 (Hayachine-Miyamori Ultramafic Complex), 中国大別山 (Sulu belt), オマーンオフィオライト (Oman Ophiolite)など
  • 海域:パレスベラ海盆 (Parece Vera Basin),四国海盆 (Shikoku Basin),伊豆・小笠原海溝 (Izu-Ogasawara Trench),マリアナ海溝 (Mariana Trench),トンガ海溝 (Tonga Trench)など
  • 情報:変形 (Deformation),歪 (Strain),応力 (Stress),結晶方位定向配列(CPO),組織 (Texture),微細構造 (Microstructure), 累帯構造 (Zonal structure),P-T経路 (P-T path), 化学組成 (Chemical composition),変成年代 (Age), 地質図 (Geological map)など
  • 手法:偏光顕微鏡 (Polarized Optical Microscope),電子線マイクロアナライザ (EPMA), 顕微ラマン分光装置 (Micro-laser Raman spectroscopy), 電子線後方散乱回折分析装置 (EBSD), 蛍光X線分析装置 (XRF),X線回折装置 (XRD), 野外調査 (Field works)など
 

岩石学とテクトニクスのリンク
Link of Petrology and Tectonics

沈み込み帯を中心としたプレート収束域の岩石学とテクトニクス、さらに最上部マントルの構造とレオロジーに着目した研究を進めています。

国内は三波川変成帯や領家変成帯、海外はアラビア半島オマーン国や中国大別山地域などで産出する岩石の調査・研究、さらにフィリピン海海底や小笠原海溝マリアナ海溝の海底調査をしています。

研究室では岩石・鉱物を物理化学的なアプローチによってその特徴や変形・圧力温度履歴を定量的に分析して得られたデータをもとに地球深部の諸現象を明らかにしています。


四国中央部三波川変成帯. 猿田川から芋野岩体(正面の赤い崖)と東赤石山を望む


海洋研究開発機構の潜水調査船「しんかい6500」による深海底の地質調査

岩石鉱物学とレオロジーのリンク
Link of Petro-Mineralogy and Rheology

マントル起源のカンラン岩は、最上部マントルの流動を知る手がかりになります。著しく細粒化したマイロナイトはリソスフェア内の剪断変形の証拠となります。

本研究室では地殻とマントルを構成する岩石と鉱物の物理的特徴を研究し,鉱物の塑性変形構造の発達過程を理解することによって、地球深部の流れ(レオロジー)を明らかにしています。


カンラン岩ウルトラマイロナイトの結晶方位マップ.赤色がカンラン石、緑色は角閃石.ポーフィロクラストの非対称組織などの剪断変形組織が良く発達している.

造岩鉱物学と地球化学のリンク
Link of Mineralogy and Geochemistry

沈み込むスラブは,大規模な地殻−マントルの相互作用を引き起こしています.スラブを構成する鉱物の結晶化学的特徴を研究し,いくつかの鉱物の元素貯蔵相・輸送相としての役割を解明することにより,地殻ーマントル間における元素循環を論じようとにしています.

分光学と地球科学のリンク
Link of Spectroscopy and Earth Science

試料から様々な情報を読みとるためには,ミクロン(10-4cm)単位の分析が必要です.岩石学の分野では,これまでは、主に電子線を利用したEPMA分析がその主流でした.

当研究室では,これに加えて,可視光レーザーを利用した顕微ラマン分光分析や顕微赤外分光分析の地球科学的分野への応用について検討をしています.ラマン・シフトと化学組成,圧力や応力との関係を用いた「石英ラマン圧力計」や、炭質物の結晶化度と変成温度との関係を用いた「炭質物ラマン温度計」の開発を進めています.

CHIME年代測定法
Chemical U-Th Total Pb Isochron Method 

 CHIME年代測定法は,鈴木和博教授(年代測定総合研究センター名誉教授)が当研究室在籍時に独自に開発した,これまでとは発想が全く異なる地質年代測定法で,高空間分解能且つ得られた値が自己検証可能であるという特徴をもっています.その成果は,宇宙環境研究所(旧年代測定総合研究センター)へ引き継がれ,様々なタイムカプセルに記録された地球史のイベントに時間日盛りを刻む共同研究に大きな威力を発揮しています.