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地質・地球生物学講座生物圏進化学研究室に在籍している加藤悠爾さん(指導教員:須藤 斎)の卒業論文+αの内容がKato et al.としてDeep Sea Research II に受理されました!

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Kato, Y., Onodera, J., Suto, I., Teraishi, A. & Takahashi, K. (in press). Pliocene and Pleistocene paleoceanography in the western subarctic Pacific based on diatom analyses of ODP Leg 145 Hole 884B and IODP Expedition 323 Holes U1341B and U1343E. Deep Sea Research II.

 本研究では,北西太平洋域の堆積物試料(ODP Leg 145 Hole 884B)に含まれる珪藻化石の種構成が過去250万年の間にどのように変化してきたのかを調べ,さらに,ベーリング海の堆積物試料(IODP Exp. 323 Holes U1341B, U1343E)に含まれる珪藻化石の分析結果(Onodera et al., in press; Teraishi et al., in press)との比較を行い,ベーリング海・亜寒帯太平洋域全体の海洋環境の変化について考察しました.
 これらの分析の結果,約200万年前に北太平洋からベーリング海にわたる広い海域で寒冷化イベントが起こっていたことが明らかになりました.そして,興味深いことに,この寒冷化のタイミングは同時というわけではなく,より南に位置するSite 884B, U1341B(約210万年前)のほうが,北に位置するSite U1343E(約190万年前)よりも早かったのです.この年代の差異について,私たちは,現在のベーリング海の海流構造も参照しながら次のようなシナリオ — (1) Site 884, 1341への東カムチャツカ海流による寒冷水供給が増加,(2) Site U1343には比較的温暖なアラスカンストリーム起源の海水供給が継続— を考えました.

[加藤] 私にとってはこれが初めての国際誌への論文投稿です.査読者の方々からの指摘・変更要求も多く,受理までの間にかなり多くの修正作業をこなすこととなりました.気持ちが折れそうになる時もありましたが,修正を経て,ついに掲載決定となった時には,「世界中の人に自分の研究成果を見てもらえる」という喜び・達成感を感じました.早い時期にこのような機会を与えてくださった研究室の先生,多くの有益なアドバイスや励ましをくださった共著者の皆さんには本当に感謝しています.