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なんで研究者になったの? 目指しているの? 何になりたいの? 

地球惑星科学科には国籍や年齢の異なるたくさんの研究者・学生が在籍しています.

このコーナーでは,
教員たちが研究者を目指したきっかけや
学生たちがなぜ研究者を目指しているのか,
さらに研究をするという経験を将来どのように役に立てたいのか,どのように役に立ってきたのか,
といった話を披露していきます!

研究って,楽しそう! 
結構普通の人たちが研究しているんだな
地球科学を楽しんでみたい!
そう思っていただけるような内容が満載です.

もし,私たちと一緒に研究をしてみたい! と思ったらここをクリック!


山本 鋼志 (地球化学講座 教授 HPはこちら)の場合

教師になりたかった大学教員

大学教員の多くは,修士課程までの研究が面白く感じて博士課程に進学,最終的に大学教員のポストに就かれていることと思います.ですから,「研究が第一」の教員が多いと思います(単なる偏見かもしれません).それに対して,私の場合は「教師になりたい!」と中学以降ずっと思っていました.中学校時代には中学校の教師に,高校時代には高校教師になりたいと思っていましたが,大学に入ってみると,「カリキュラムに縛られない教育」,自分の好きな「研究をしながらできる教育」がありました.これは大変魅力的な職業に見えました.

 しかし,教育大学で学んでいた私には,大学教員を目指すなんてことは大変おこがましく,そのためのルートもよく分からず,また大学教員になるための実力も微塵もないことは火を見るよりも明らかでした.
 一方,当時色覚異常者は「教育大学の理科に入学ができる」にも関わらず,「理科の採用試験に合格しない!」と言われていました.幸か不幸か? 私がその色覚異常者のため,当時の担当教員に相談したところ「大学の先生になるには色覚検査はないから,大学院に進んで大学教員になったら」というあっさりとしたいい加減なご返事をもらいました.
勿論,直ぐには受け入れられませんでしたが・・・

結局,2年余分な学費を払いましたが,名古屋大学の修士課程に合格し,やっと大学教員を目指すためのスタートラインに立つことができました.しかし,地方の教育大学出身者と名古屋大学出身者では,その実力には大きな差があるだろう! さらに,化学教室から地球科学教室へ進学した私には,地球科学の基礎学力も全くありませんでした.そんな中で大学教員を目指すのはやはり無謀といえます.指導教員も,さして期待していなかったに違いありません.

 そんな状況でありながら,名古屋大学出身者に打ち勝ち,指導教員に博士課程進学を認めさせるにはどうしたらよいか? を考えたところ,結局のところは「体力で勝負!」でした.とにかく,同じ講座のどの学生よりも早く大学に来て,遅くまで実験をし,休み時間も削って,人よりもより多くの時間を研究に費やす! が私の勝負手となりました.その間に学部講義を受けたり,地質調査に参加したりを加えて・・・

 修士課程のうちに,指導教員から日本語論文を書くように指示され,赤ペンで真っ赤以上になるくらい直されました.が,その原稿が専門誌に掲載され,自分の名前が初めて掲載されたときの喜びは大きかったですし,スタートラインから一歩踏み出せたように思いました.また,この喜びが,ますます実験・研究に時間を費やすエネルギーとなったと思います.

 その後は,やっと指導教員を納得させることができて博士課程への進学を許され,博士3年の途中で運良く他大学から声がかかり,助手のポストを得ることができました.しかし,体力勝負で大学院を過ごし,十分に頭を使う訓練が足りなかったため,指導生の研究テーマを考えるのには大変苦労しました.そして,今も苦労しています.しかし,学部講義はともかく,卒論生や大学院生には,論文になり得る研究テーマを通してしか教育は成り立たないと思っています.結局,「研究第一」でも「教育第一」でもなく,大学教員にとっては「研究」と「教育」は両輪なんですよね? 当たり前の結論ですが.