What is Tectonics Group ?



 地球表層部を構成する地層や岩石は、プレート運動による力、水や大気によって絶えず変質や変形し、移動しています。地殻変動で上昇した地層や岩石は山脈をつくり、そこを起点として岩石は砕屑物となり、河川によって下流へ運搬され、低地や海で堆積し、地層を形成します。この地層には、砕屑物が堆積した環境を反映した堆積構造が形成され、それに含まれる砕屑物は起源となった岩石の種類を反映しています。では、日本列島をつくっている古い地層の堆積した環境はどのようなものだったのでしょうか?

写真(上):リズミカルに堆積した地層。ここに過去の環境が記録されています。
写真(下):砕屑物を運搬する水流の状況に応じて様々な堆積構造が形成されます。

環太平洋造山帯の形成史の解明に力を注いでいます。

 造山帯の解析手段として、砕屑岩類の堆積学的・岩石学的研究に基づいた後背地解析堆積相解析地質構造解析年代測定などの手法を用いています。1980〜1990年代のEPMAを用いた砕屑性鉱物、特にザクロ石の化学組成からみた日本列島のペルム系から白亜系の後背地解析の研究では、ペルム紀末、トリアス紀後期からジュラ紀前期および白亜紀中頃の後背地の変化を見いだし、それらは東アジアでの南・北中国地塊の衝突や中央構造線の運動に関係することが明らかにされました。また,2010年代より,レーザー・アブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)を用いて,砕屑性ジルコンや火成岩中のジルコンのU―Pb年代を測定し,沈み込み帯の火成活動と隆起運動,およびそれに伴う堆積作用の解明をめざしています。日本の中・古生界は褶曲や断層が発達していて、このような後背地の時間的変化を研究するには変形前の層序を復元する必要があります。そのため私達は野外調査を重視し、地質構造の解明にも力を入れています。

写真:近年の研究対象地域は北アルプス北部。秘境には多くの新事実が埋もれています。

研究成果の還元

 本研究室で得られた研究成果を社会へ還元するために、名古屋大学博物館と密接に連携をとり共同研究を行っています。テクトニクスグル−プで行われている研究は人間社会との関わりも大きく、卒業生は大学や公的研究機関で研究・教育をしたり、石油や新エネルギー資源の探査・開発や放射性廃棄物の地層処分など現代社会が直面している困難な問題の解決のために、最先端で活躍しています。

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