トピック1 砕屑性重鉱物の化学組成に基づく後背地解析
砕屑性ザクロ石やクロムスピネルなどの化学組成はその源岩形成時の温度・圧力・全岩組成などの条件によって様々に変化します。砂粒となったザクロ石はその化学組成に源岩の情報を秘めているのです。砂岩中の多くの砕屑性粒子の化学組成を測定し、後背地解析を行っています。偏光顕微鏡下での鉱物の鑑定能力や鉱物学・岩石学の知識が必要です。
発見1:
ペルム紀から三畳紀の砂岩に産する砕屑性ざくろ石はCaザクロ石が多く、ジュラ紀から白亜紀の砂岩ではMgに富むFeザクロ石が多くなります。ペルム紀の中国大陸縁辺部に発達した火成弧起源から中国大陸の基盤岩をなす先カンブリア紀高度変成岩起源へと、後背地が変化したことを表します。
発見2:
ジュラ紀の砂岩から砕屑性クロリトイドを発見しました。中古生界砂岩からのクロリトイドの発見は、名古屋大学博物館足立守教授、元当研究室院生上久保寛と私の三例のみです。クロリトイドは大陸地域などで風化された土壌が変成作用を被って形成され、日本では大変珍しい鉱物です。
これらの結果から、三畳紀からジュラ紀の砕屑物の変化は南北中国地塊の衝突に起因していると考えました。この成果の一部をまとめた竹内(1994)によって日本地質学会研究奨励賞をいただきました。