数値解析法及び演習 第六回

サブルーチン
  1. 関数副プログラム
  2. サブルーチン
  3. 今日の宿題

[1] 関数副プログラム

フォートランにはデフォルトでいくつかの関数が用意されているが,ユーザー が独自に関数を定義して用いたい場合は「関数副プログラム」というものをつかって関数 を定義することが出来る.使い方は


t function f(a1,a2,....aN)
......
f=.....
return
end
function文 f=.... 関数副プログラムの定義をおこなう
t 型宣言:double precision, integerなど
a1,a2,...aN 仮引数:型宣言をすること
プログラム中で用いる時は,

b=f(c1,c2,....cn)
のように引数を代入して行う.

たとえば, 1からnまでの総和を求める関数副プログラムは

      integer function souwa(n)
      implicit none
      integer i,n

      souwa=0
      do i=1,n
      souwa=souwa+i
      enddo
      return
      end

      implicit none
      integer souwa,n
      read(*,*) n
      write(*,*) souwa(n)
      end

注意点

練習問題1

n!を計算する関数副プログラム fact(n)を作成せよ.


[2] サブルーチン

プログラム中で同じ処理を何度も行いたい場合がよくある.そのたびごとに同じプログラムを何度も書くのは馬鹿げている.同じ処理はサブルーチンとして外部手続きとしておくと都合がよい.

サブルーチンを呼び出す側のプログラムは「主プログラム(main program)」と呼ばれる.サブルーチンは主プログラムのend文以降に,主プログラムと独立に次のように書く. subroutine文以下endまでがサブルーチンである.

 !     main program
       implicit none
       double precision d(10),f,g
       ......

       call S(f,g,d,10)

       ......
       end


       subroutine S(a,b,c,n)
       implicit none
       integer n
       double precision a,b,c(n)
       ......
       ......
       return
       end

サブルーチン文 S(a,b,c,n) サブルーチンの定義をおこなう
S サブルーチン名:英文字で始まる31文字以内の英数字
a,b,c 仮引数:使う変数は型宣言すること

call 文 call S(f,g,d,n) サブルーチンを呼び出す
f,g,d 実引数:仮引数と順序, 型を一致させる必要あり

サブルーチンはend文で終わらなければならない.サブルーチンから,呼ばれた場所に強制的に戻るには

       return
を書く.return文は何個あってもよい(endは一個:end文のみでreturn文がない場合はendで呼ばれた場所に戻る).それでは次のプログラム を入力して実行してみよう.

プログラム2-1
!     main program
      implicit none
      double precision a,b,c

      a = 1.D0
      b = 2.D0
      call wa(a,b,c)
      write(*,*) c     
      end

!     subroutine

      subroutine wa(a,b,c)
      implicit none

      double precision a,b,c,d

      c = a + b
	  d = a * c   ! このdの値はメインプログラムに渡されない
      return
      end

呼ぶ方(call wa(a,b))と呼ばれる方(subroutine wa(a,b))の引数は順序,個数,型を一致させなければならない.逆に言うと,引数の個数,型が一致していれば名前は違っていてもよい.サブルーチンを使う場合は, サブルーチンとの変数, 配列のやりとりに注意すること.どれが入力でどれが出力かを頭にいれてプログラムを作成すること. カッコの中に含まれている変数配列のみがメインプログラムとやりとりされることに注意. 次のプログラムは何をするのか考えてみよう.

プログラム2-2
!     main program
      implicit none

      double precision a,b,c,d,e

      a=1.D0
      b=2.D0
      d=3.D0
      e=4.D0
      call wa(a,b,c)
      write(*,*) c
      call wa(d,e,c)
      write(*,*) c
      
      end

      subroutine wa(a,b,c)
      implicit none
      double precision a,b,c
      c=a+b
 
      return
      end


練習問題1

以下のプログラムを正しく修正せよ.どのプログラムも1行のみ修正すれば動作する.

プログラム2-3


      implicit none
      double precision a,b

      a=1.D0
      b=2.D0
      call wa(a,b)
      write(*,*) b
      
      end

      subroutine wa(a,b,c)
      implicit none
      double precision a,b
      b=a+b
 
      return
      end

プログラム2-4


      implicit none
      double precision a,b

      a=1.D0
      b=2.D0
      call wa(a,b)
      write(*,*) b
      
      end

      subroutine wa(a,b)
      implicit none
      integer a,b
      b=a+b
 
      return
      end

プログラム2-5


      implicit none
     
      double precision a(2),b

      a(1)=1.D0
      a(2)=2.D0
      b=0.D0
      call wa(a,b)
      write(*,*) b
      
      end

      subroutine wa(a,b)
      implicit none
      double precision a,b

      b=a(1)+a(2)
 
      return
      end

練習問題2

プログラム2-3を,二つの数の積を計算するサブルーチンに書きかえよ. これを用いて変数a,bの積(答えは2.D0)を算出せよ.

練習問題3

変数a,bに代入された値を入れ替えるサブルーチンswap(a,b)を作成せよ.サブルーチンに変数a,bが代入され,実行後はa,bの中身が入れ替わる.a, bは実数とする.

練習問題4

  1. n!を計算するサブルーチン subroutine fact(n,ans)を作成せよ.ここでn, ans は整数とする.
  2. n個のものからm個のものを取り出す組み合わせの数 nCmを計算するサブルーチン subroutine comb(n,m,ans) を作成せよ.
  3. 二項定理によると,f=(x+y)**nは
    (x+y)**n=ΣnCm x**(n-m)*y**m
    となる.nCmを求めるサブルーチンを用いてfを計算するプログラムを作成せよ.x=0.3D0,y=0.7D0,n=10として実行し,結果がほぼ1.D0になることを確かめよ.

[3] 今日の宿題(1.5点)

練習問題4-3のプログラム, 答えを送ること. 〆切は11/17.

追加の宿題(0.5点)

実数が10個格納された配列a(10)を,a(1)から大きい順に並べ替えるサブルーチンsort(a)を作成せよ.サブルーチンには配列aが代入され,実行後は配列aの中身が大きい順に入れ替わっている.




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