Lesson 4. 例その1:合成時系列データの解析
このデータについて、存否法で解析すると、AR次数と同じ数の波素(周波数、成長率、初期振幅、初期位相の組)が得られます。下の図は、そのうちの周波数と成長率をプロットしたもの(f-gプロットと呼ぶ)です。存否法では、求められた一つの波素は下の図で一つの点であらわされます。データに入れてやった三つの波素が正しく求められています。残りの点はノイズです。
周波数-成長率平面の上に初期振幅の棒グラフをたててやったのが下の図です。いれてやった三つの波素の振幅が大きくでています。それ以外のノイズの振幅は小さく求められています。
下の図でデータ時系列(青実線)と、求められた波素から再現した時系列(赤点線)とをくらべてみます。波形がほぼ正しく再現されていることがわかります。
このように、存否法は、いわゆるラインスペクトルをもつ波形データのスペクトル解析に威力を発揮し、その周波数分解能がきわめて高い方法です。また、減衰定数(負の成長率)も同時に決定することができます。このような特徴を活かした応用が期待されます。