2026.7.22
「地球環境科学と私」第六十五回は地球環境システム学講座 三木 和子さんによる
地球環境科学×コンサルタント~自然と社会を現場でつなぐ~ です.
私は現在、博士後期課程に在籍しながら、農業土木コンサルタントとして海外の水資源・農業開発に携わっています。国内事業に従事していたころは土木地質屋として設計・調査に専念していました。しかし、海外事業ではハード・ソフト両分野の専門家で構成されるプロジェクトチームの一員として国や地域の課題解決に取り組むため、臨床環境学やリモートセンシングなど地質以外にも関心の幅が広がりました。今は、仕事現場での実務経験と大学院での研究を行き来する中で、「地球環境をどう理解し、どう守り、どう利用するか」を考え続けています。
放牧圧の上昇による草原劣化
私の研究テーマは、モンゴル国フグンタルン国立公園において、砂漠観光が草原の生態系および社会システムに与える影響です。モンゴルでは近年、観光業の急速な発展により、砂丘の拡大や草原の劣化、ゴミ問題などが顕在化しています。一方で、観光は地域経済にとって重要な収入源でもあり、自然保護と経済活動の両立が大きな課題となっています。
本研究では、人工衛星画像を用いた土地被覆解析により、過去約20年間の砂丘拡大や植生変化を定量的に評価するとともに、現地での聞き取り調査を通じて、公園管理者、観光事業者、遊牧民、観光客といった多様なステークホルダーの意識を分析しています。その結果、環境変化は広く認識されているものの、観光活動や管理体制との関係については理解や問題意識に大きな差があることが分かってきました。科学的データと社会調査を組み合わせることで、合意形成や持続可能な管理の可能性を探る点が、この研究の特徴です。
こうした研究関心は、コンサルタントとしての実務とも深く結びついています。現在は、オマーン国での地下水シミュレーションによる持続可能な水資源管理や、マラウイ国、カンボジア国での灌漑開発に向けた地質調査など、海外の農業・水資源開発プロジェクトに従事しています。気候条件や社会背景の異なる地域で、自然環境と人間活動のバランスを考えながら計画を立てる仕事は、まさに地球環境科学の実践の場だと感じています。
地球環境科学の魅力は、自然科学と社会科学を横断し、現実の課題に向き合えることです。研究で得た知識や分析手法は、行政、民間企業、国際協力など幅広い分野で活かすことができます。現場で汗を流しながら考え、研究成果を社会に還元する──そんなキャリアを目指す方には、大きな可能性が広がる分野です。
実際の業務内容やキャリアの考え方については、私が勤務する株式会社三祐コンサルタンツのWebサイトでも詳しく紹介しています。大学院で学んだ地球環境科学が、どのように社会の現場で活かされているのかを知る一例として、参考にしていただければと思います。
海外プロジェクト紹介:https://sanyu-con.jp/pages/42/
社員インタビュー:https://www.sanyu-recruit.jp/people/index.html
環境問題に関心がある方、フィールドで活躍したい方、国際的な舞台で専門性を発揮したい方に、地球環境科学専攻の学際研究と、環境・社会インフラを支えるコンサルタントの面白さが伝われば幸いです。