教員紹介

林 亮太

林 亮太
(HAYASHI Ryota)

助教
メールアドレス:hayashi.ryota.u4 [at] f.mail.nagoya-u.ac.jp
居室:環境総合館719
内線:3017
個人サイト

研究内容

 私は、皆さんの足元に広がる地下の世界、つまり土壌について、そこに存在する有機物(土壌有機物)を中心に研究しています。

 土壌有機物は、ただの落ち葉や枯れた根ではないです。それらが土壌動物によって細かく砕かれたり、土壌微生物によって分解されたりすることでその性質を変えながら新たに生まれてくるものです。さらに、土壌有機物は粘土や金属成分などの土壌鉱物によって保護され、分解されにくい形となって長期間地下にとどまります。

 土壌有機物は、生き物の食べ物として分解され、養分を土壌に供給する役割があります。同時に、その表面で養分を保持する能力があり、また主成分が炭素であることから、炭素を地下に貯蔵する機能も果たしています。大気中の二酸化炭素や土壌中の水をもとに植物がつくった葉や根を出発点にして、土壌有機物は形成され、これらの機能を発揮することから、持続可能な社会の構築に向けて考慮すべき重要な存在といえます。

 私の研究では、日本のスギやヒノキの人工林を対象に、土壌の酸性の強さが土壌有機物にどのような影響を与えるかに注目しています。土壌が酸性になる現象(土壌酸性化)は、土壌劣化の1つであり、養分欠乏や根の成長阻害を引き起こすことで農林業における生産性に悪影響を与えます。私は、酸性が強い土壌と弱い土壌の間で、有機物の量や性質を比較することで、酸性が強くても土壌機能を保ちつつ持続的な林業が可能かどうかを明らかにすることを目指しています(Hayashi et al., 2023, 2024 Plant Soil、関連プレスリリース https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2022/10/post-345.html)。もちろん、研究対象は土壌有機物そのものだけではありません。その形成に深く関わる樹木の根、土壌動物・微生物、土壌鉱物も重要な対象です。

 将来的には、土壌の酸性の強さ以外の環境条件や森林の攪乱、さらに森林以外の生態系にも視野を広げて研究を展開し、より広い視点で持続可能な土壌管理に貢献したいと考えています。