生命と地球の共進化


 

19億年前の波打ちぎわに堆積したストロマトライト。バクテリアのマット(集合体)が作った石灰岩です。当時の地球では、浅い海のいたるところでこのような石が形成されていました。バクテリアの活動の変動によって、縞模様がつくられています。

私たちは、バクテリアのマット(バイオマット)がどのようにストロマトライトを形成し、どのような縞模様を作るかを、現在の地球で成長しているバイオマットを調べる事によって明らかにしようとしています。

日本にみられるバイオマットは温泉にたくさんあります。温泉水が湧き出しているところには、必ずといっていいほど好熱性のバクテリアがすみついたバイオマットがあります。わたしたちはこれらの温泉バイオマットの中から、テストフィールドとして、長野県中房温泉バイオマットを選び、繰り返し観測を行っています。

 

これは、長野県中房温泉のバイオマットです。砂防ダムの割れ目から温泉水があふれだしていて、ダムの壁に貼りつくようにバイオマットが発達しています。

 

上の写真の近景です。白い部分は硫黄芝とよばれる硫黄細菌のマット、緑色の部分はシアノバクテリアとクロロフレクサス(いずれも光合成を行うバクテリア)のマットです。いずれも、手をつけるとやけどしそうなほど高温なところに生き生きと成長しています。温度や温泉水に溶けている硫化水素濃度などに応じてバクテリアがすみわけいていて、多彩な色をしています。