現在進行形ならびに切りのついた研究のうち以下に3件を紹介します。ホームページにすべての研究を紹介することは無理ですので、あとは論文リストをごらん頂き、興味のある事柄やもっと知りたいことがあれば、ご遠慮なく問合せをしてください。長期出張でなければ、1週間以内にご返事を差し上げられると思います。


1.マリアナ前弧海山中の塩基性岩の起源(大阪府大・前 川先生)
2.愛知県の地球化学図(名大・地球化学講座+α)
3.先カンブリア時代の海水中の希土類元素組成(名大博物館・足立先生)




マリアナ前弧海山中の塩基性岩の起源



 マリアナ海溝からマリアナ諸島へ50〜80Km離れた海底(前弧域)には多数の海山が存在まします。一部の海山は、左の等高線図のように非常に綺麗な円錐形をしています。
 これらの海山は、マントルが沈み込む太平洋プレートから放出される水によって軽い含水鉱物(蛇紋石)に変わり、前弧域の断層に沿って、地下深部から海底 へ吹き出して山を作ったと考えられています。


 そのような蛇紋岩海山から、色々な岩石が回収されます。その中には、玄武岩やはんれい岩などの火成岩、地下深部で変成を受け た青色片岩、はたまたチャートと呼ばれる堆積岩まで回収されます。
 このような岩石がどのようなプロセスを経て蛇紋岩海山に取り組まれたのか?主成分元素・希土類元素・や同位体組成から明らかにしたいと思っています。

Yamamoto et al.,Geochemcal Journal, 26, 411-423 (1992)
Yamamoto et al.,Geochemcal Journal, 29, 259-275 (1995)
Maekawa,Het al., Bull. Earthq. Tes. Inst. Univ. Tokyo, 76, 355-366 (2001)
Murata et al., Geosphere, 5, 90-104 (2009)






愛知県の地球化学図



 名古 屋大学地球化学講座では、1994年から愛知県の北半分の地域から河川堆積物を採集してきて、主成分元素と微量元素分析を通して地球化学図の作成を進めてきました。2007年で一段落としましたが、全部で約1,500試料の分析を行ってきました。その結果を用いて、主成分元素の地球化学図を論文として報告しました。また、浅原先生が、ストロンチウム同位体比を地球化学図に用いた論文も書いています。地球化学図に興味のある方は是非ともご覧ください。
 現在のところ、同じような地球化学図作成のプログラムを地球化学講座で再開する見込みは立っていません。
Yamamoto et al., Applied Geochemistry, 22, 309-316 (2007)
Asahara et al., Applied Geochemistry, 21, 419-436 (2006)


先カンブリア時代の海水中の希土類元素組成


 上の玄武岩は、名古屋大学博物館に展示されています。1995年にオーストラリア・ピルバラ地域で採取してきた物です。枕状 玄武岩 (Pillow Basalt) の間に少し明るい色の炭酸塩岩 (Carbonate) が挟まれています。この炭酸塩が、当時(約34億年前)の海水から沈殿したと考えると、炭酸塩の分析を通して、当時の海水の化学組成を調べることができる かもしれません。ただし、岩石ができてから変成作用などを受けていると、炭酸塩岩の化学組成が変化している可能性があります。そこで、変成作用で影響が少 ないと考えられる希土類元素にターゲットを当ててみました。




 左の 図が炭酸塩岩の希土類元素パターンです。明らかな下に凸の四組効果と、ユーロピウムの正の異常が見られます。このような結果は縞状鉄鉱床などでも報告され ており、海水から沈殿したことを強く示唆します。希土類元素とCaの比で、炭酸塩岩と海水の間の元素分配を見積もり、34億年前の海水の希土類元素組成を 推定したのが右の図です。現在の海水に比べると重希土類元素に富んでいること、また、Ca濃度にも依存するが、現在の海水に比べて希土類元素濃度が高かっ たこと、が示唆されます。
Yamamoto et al., Precambrian Research, 135, 331-344 (2004)


山本は、色々なことに興味を持っており「研究に一貫性がない」という見方もあります。そのために装置に縛られたり、環境が変わることを苦にしません。そんな研究スタイルではありますが、もし質問などがありました ら、hamchans(a)nagoya-u.jp までお問い合わせ下さい。