有機物の衝撃実験 −生命の起源にせまる―

 地球の生命の原料は? そして、生命はどのように誕生したのでしょうか? 最近、地球生命のもとになった有機物は隕石によってもたらされたという考え方が有力になりつつあります。ある種の隕石には、生命にとって重要な物質(アミノ酸、リン酸、脂肪酸など)だけでなく、多種多様な有機物が存在することがわかっています。これらの有機物は、もとはといえばすべて宇宙空間に存在した炭素 (C) 、水素 (H) 、窒素 (N) 、硫黄 (S) 、酸素 (O) などの元素が反応してできた化学物質であると考えられています。
 私たちは、宇宙空間に存在している CHNSO を含む化合物が、隕石に取り込まれて地球に到着するまでの過程でどのように変化(反応)してきたかに注目しています。とくに、その過程で必ず起こる物体同士の“衝撃”は物質を高温・高圧状態にするため、 CHNSO を含む物質を反応させるための重要なエネルギー源であろうと考えています。
 現在、様々な有機物や隕石そのものに衝撃を与え、それらがどのように変化するのかを調べています。具体的には、衝撃によって、単純な有機物が生命の発生に有利である複雑な物質になり得るか? 生命体に必要な物質が分解せずに生き残れるか? などに注目して研究しています。

衝撃反応容器(衝撃前後)試料を封入したステンレス製反応容器と弾丸を衝突させた反応容器

   

ナフタレンの衝撃実験生成物 赤色で示したものは主要生成物(クリックで拡大図を表示)

ベンゼンの反応経路 ベンゼンの衝撃主要生成物から考えられる衝撃反応経路 (クリックで拡大図を表示)