隕石に含まれる有機物の研究 −有機物からひもとく宇宙の歴史−

 ある種の隕石には様々な種類の有機物が存在します。これらの有機物は様々な宇宙環境(星間分子雲、太陽系星雲、隕石母天体など)の情報を持っていると考えられています。とくに、有機物は温度・圧力・酸素分圧の変化に敏感なため、隕石中の無機鉱物からは得られない情報を持っている可能性があります。
 マーチソン隕石とアエンデ隕石という炭素質隕石には多種多様な有機物が含まれています。私たちは、これらの隕石から、有機溶媒に溶ける有機物(可溶性有機物)有機溶媒に溶けない有機物(不溶性有機物)をとりだし、その化学組成や同位体比を調べています。これまでの分析によって、隕石中の有機物はすべて同じ環境でできたのではなく、いくつかの違った環境でできたものの集まりであることがわかってきました。今後、そのいくつかの環境とはどんな環境だったのか? を明らかにしていこうと思っています。

可溶性有機物 マーチソン隕石から有機溶媒で抽出された有機物 この中にはアミノ酸、糖、炭化水素、脂肪酸などの有機物が含まれている 不溶性有機物(Insoluble Organic Matter: IOM)マーチソン隕石から精製された IOM  マーチソン隕石 10 グラムから約 150 ミリグラムの IOM が回収できる
 

 

ソックスレー抽出器 試料から有機物を抽出するのに使用するガラス機器

真空ライン 同位体比測定用の試料ガスを精製し回収するためのガラス装置