マントル有機物の研究 −高温高圧環境に存在する有機物−

 以前より、ある種の火成岩はメタン、エタンなどの低分子の有機物を普遍的に含むことが知られていました。これらの岩石は生物活動とは全く無縁の環境でできたものであるため、そこに有機物が存在することはとても不思議であると同時に非常に魅力を感じていました。そこで私たちは、もっと他の有機物が存在するかもしれないと考え、様々な火成岩を世界中より採集し、溶媒によって取り出した抽出物を分析しました。
 その結果、ある種の火成岩中には炭素の数が 14 から 33 までの高分子脂肪族炭化水素(石油に似た有機物)が存在し、この炭化水素は地表の生物などに由来する汚染物ではなく、もともと岩石中に含まれていることがわかりました。この炭化水素を含んでいる岩石はマントルと密接な関係を持つと考えられる岩石であったため、この炭化水素を“マントル有機物”と名付けました。今後、この研究を「有機物の熱的安定性の再検討」や「石油の起源の解明」というテーマに発展させたいと思っています。

マントルと有機物を含む火成岩 マントルの一部が削り取られて地表に出てくることがある そのような岩石中に石油に似た組成を持つ有機物が検出された

マントルゼノリス マントルの一部分(緑色の部分)が溶岩によってはぎ取られて地表に出てきた岩石 隠岐島後にて採取

   

ハワイのマントルゼノリスから抽出された有機物のクロマトグラフパターン 石油とよく似た特徴を示す