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火山活動に伴う地下構造変化を検出!

2015.8.11

名古屋大学地震火山研究センターの前田裕太助教の研究がGeophysical Research Letters誌に公開されました.前田さんによる解説を掲載します.


桜島火山の噴火活動に伴うグリーン関数の時間変化をアクロスと呼ばれる精密制御震源を用いて推定した。アクロスからの送信信号が記録された近傍の観測点の地震波形を400秒毎に分割し、震源時間関数でデコンボリュージョンすることによって400秒間のグリーン関数が求められる。これらを最寄りの噴火との時間差を揃えてスタッキングすることによって気温や降雨など火山活動以外に起因する時間変化を相殺し、噴火活動に伴う変化を抽出した。アクロス送信点に一番近い春田山観測点(震源距離615 m)において、グリーン関数の3成分エネルギー波形は直達波と思われる主要フェーズ(0-2秒)、ほぼ一定振幅の後続波(2-4秒)、時間の指数関数で減衰するコーダ波(4-12秒)、ノイズ(12秒以降)から成る。このうちの後続波(2-4秒)のみにおいて、噴火に近い時間帯でスタッキングしたグリーン関数のエネルギーが平均的な値よりも系統的に小さくなるという結果が得られた。このエネルギー低下は噴火前後8時間の範囲で有意であり、噴火に近い時間帯でスタッキングするほどエネルギー低下幅が大きくなる。本手法で推定されるグリーン関数は噴火前後の火山性地震の活発化によって見かけの変化を生じうるが、この見かけの変化であればグリーン関数の全タイムウインドウに均一な振幅で影響が現れる。したがって後続波部分(2-4秒)に局在したエネルギー低下は爆発地震の増加による見かけの変化ではなく真の地下構造変化を表しているものと考えられる。アクロス送信点から2番目に近い観測点(1200 m)では2-6秒のタイムウインドウにおいてエネルギー低下が見られること、最寄の噴火との時間差ではなく各タイムウインドウを挟む連続した2つの噴火の時間間隔を揃えてスタッキングした場合には噴火間隔が短い時期ほどエネルギー低下幅が大きくなることも見出された。本研究は火山活動に伴う地下構造変化をアクロスを用いて検出した初の成果である。今後は変化の原因の解釈およびモニタリングへの応用のための追加の解析を進めていきたい。

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