地球惑星科学科講師派遣プログラム 本文へジャンプ
名古屋大学
環境学研究科
地球惑星科学系
講師派遣
プログラム

派遣講師の紹介
本プログラムで派遣可能な教員を紹介します.どのような話が聞きたいか,各教員のHPもリンクしてありますので,皆さんが興味を持っている話が聴けそうな教員を探してみてください.
大学生レベルの話だけでなく,地球科学の知識があまりない一般の方々にも分かりやすいお話もできますのでご心配なく!
この先生の話が聴きたい! と思ったら,jimu(at)eps.nagoya-u.ac.jp(at)を@に置き換えてください)まで連絡をお願いします.

高野雅夫 (地球環境システム学講座 教授)   (HPはこちら
だいず先生の持続性学入門 〜自立した持続可能な地域社会をつくるために〜
ガソリンの価格がずっと高騰したままです.石油資源はおおむね全体の半分を使い切ったところで,「タンクの底」が見えてきました.残りの資源をめぐって政治的にもキナ臭い状況となっています.化石燃料にも原子力にも頼らない再生可能エネルギーだけで暮らす社会は成り立つのでしょうか? 再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度によって,あちこちにソーラー発電や風力発電が目に見えて増えてきたり,木質バイオマス発電所が建設されていますが,これらは持続可能なのでしょうか? 小水力発電や薪ボイラーなど有望な技術もあります.最新のエネルギー事情と今後の展望をお話しします!

城野信一 (地球惑星物理学講座 准教授)   (HPはこちら

0.1ミクロンから4万キロメートルまで 〜惑星形成におけるドラマ〜
地球はものすごく大きいです.一周すると四万キロもあります.一方で,地球の原材料の大きさは0.1ミクロン(1万分の1ミリ)で,ウイルス程度の大きさしかありません.このように小さい物質からどのようにして地球のような大きい惑星ができたのでしょうか?その過程には数多くのドラマと謎があります.最新の研究成果についてお話します!


西田佐知子 (地球史学講座(博物館)准教授)   (HPはこちら
まちがった愛に追われて 〜生物の分布と繁殖干渉〜
生物がある場所にいる理由を,多くの人は気温や湿度などだけで考えるかもしれません.でもその理由が,生物同士のかかわり合い,とくに繁殖での「まちがい」にあるとしたらどうでしょう? 近い生物同士が,まちがって交配しようとしてしまった結果,どちらかに不利益が生まれることを「繁殖干渉」といいます.そしてこの現象は,生物の分布,外来種問題,そして生物多様性にまで大きく関係しているかもしれません.まちがった愛? ゆえに起こる生物現象について,タンポポやチョウなど,身近な生物を例にお話します!

藤原慎一 (地球史学講座(博物館)講師)   (HPはこちら
恐竜トリケラトプスの歩き方をどこまで復元できるか 〜ホネの形の意味を探る〜
恐竜や絶滅哺乳類など大昔に陸上を闊歩していた動物たちはどんな姿勢でどんな歩き方をしていたのでしょう.彼らの肩の位置は? 腕の向きは? 関節の角度は? 私たちは,彼らの遺体の一部(ホネ)がどのような形をしていたかは分かりますが,実際に彼らが生きていたときの姿は知りようがありません。しかし,ここで諦めてはいけません.「今」生きている動物たちをとことん詳しく調べてみると,彼らの「ホネの形」と姿勢や歩き方にある関係性が見えてきます.なぜその関係が成立するかについての説明が叶えば,絶滅動物でこれまで復元が困難とされてきた部位を「ホネの形」からより確からしく推定していくことができるはずです.さらに,絶滅動物に限らず動物たちがその進化史の中で「ホネの形」にどのような工夫を凝らし,多様な生態へと進化していったのかが見えてくるでしょう.動物たちの「ホネの形」の違いとその意味について,いろいろと考えてみませんか?

林 誠司 (地質・地球生物学講座 講師)   (HPはこちら

うみべの環境学 〜見て,さわって知る干潟のひみつ〜
干潟は多様な生物の生活の場であるとともに,海洋をきれいな状態に保つために,とても重要な場所です.干潟のもつ浄化作用を担っているのは他でもない,そこにすんでいる生物たちです.例えば,アサリなどの二枚貝は海水中の有機物やプランクトンをろ過して,海洋が富栄養化するのを防ぐのに役立っています.ある試算では,10km2の干潟は,10万人が住む地域の下水処理場に相当する能力があるといわれるほどです.私の出前事業では,干潟生物の生態や行動の観察を通して,海洋環境保全の大切さを感じていただきたいと考えています!(室内プログラムも対応可能です)


淺原良浩 (地球化学講座 准教授)   (HPはこちら
質量の異なる元素 〜天然同位体を利用した地球と環境の科学〜
さまざまな物質を構成する元素の中には ,元素としては1種類ですが質量の異なるものが存在します.このようなものを同位体と呼びます.例えば,ストロンチウム(Sr)という元素では,質量数が84,86,87,88の4種類の同位体が天然に存在しています.これらの同位体は地球上の様々な物質の年代を求めたり,起源を探ったりすることに利用できます.例えば,質量数87のルビジウム(Rb)同位体が放射壊変をして,別の元素であるSrの質量数87の同位体が生成されることを利用すると,隕石や地球の石ができた年代を求めることができます.また,古い石ほど87Srの同位体が多くなることを利用すれば,さまざまな物質の起源を特定することもできます.このような利用の仕方を「同位体トレーサー」と呼びます.同位体トレーサーは,黄砂の運搬過程の解明,古代人の移動過程の解明,米やタマネギなどの農産物の産地の同定,遺留品の科学捜査などの様々な分野で応用されています.天然同位体のいろいろな活用方法をお話します!
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三村耕一 (地球化学講座 准教授)   (HPはこちら

地球生命の起源を探る 〜地球外天体の衝突は生命体の材料を供給したか?〜
地球に生命体が発生するためには,まず生命を形作るために必要な材料(複雑な有機物)が地球に存在することが必要です.それらの複雑な有機物のでき方については,初期地球(大気中や海底熱水噴出口など)での合成や地球外天体による供給などが提案されています.太陽系にはたくさんの隕石や彗星が存在し,それらの多くは単純な有機物を多量に含んでいます.これらの天体が地球に落下すると,この有機物はどうなるのでしょうか? 私たちの研究によって,隕石や彗星に存在する単純な有機物に適度な衝撃エネルギーを与えると,単純な有機物が複雑なものになることがわかってきました.つまり,隕石や彗星の地球への衝突は生命発生にとって非常に重要な出来事であったかもしれないのです.恐竜を絶滅させた破壊的な現象としてではなく,生命を生み出す創造的な現象として,隕石衝突について考えてみませんか?

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平野恭弘 (地球環境システム学講座 准教授)   (HPはこちら

環境を支える樹木の根 〜地球と人とを結ぶ木の根〜

森を訪れるときれいな緑や色づく葉の世界が広がります.しかし森を支えているのは実は地下部に広がる根っこたち.木の根を目でじっくりと観察したことはありますか? 木の根は根を取り巻く土や生物たちと密接に関わりながら豊かな森林を育みます.太い根は樹木の体を支えるだけでなく,土砂災害や温暖化防止にも貢献しています.また樹木の成長に必要な養水分を吸収する細い根は,酸性化など森林の環境変化に敏感に反応していますし,落ち葉と同じように毎年枯れて落ち根として土壌に還っていきます.根のさまざまな形,長さ,重さなどの根の基礎的な情報から,根が環境を支えるために果たす貴重な役割の数々をご紹介することで,木の根が地球と人を結ぶ橋渡し役であることを実感していただけることと思います!

渡邊誠一郎 (地球惑星物理学講座 教授)   (HPはこちら
惑星系形成論 〜惑星系の形成過程を探る〜
46億年前に太陽系がどのようにできたのか,そして初期地球にはどのような物質がもたらされたのかを探る研究をしています.一言でいうと「惑星系形成論」です.最近は太陽系以外に,他の星のまわりにも惑星(系外惑星)が多数見つかり,宇宙には惑星系が普遍的に存在することが明らかになっています.こうした惑星がどうやってできたのかは,できていく過程の段階を追ったシナリオをつくり,そのシナリオの各段階を物理法則に基づいたモデルで記述して計算機シミュレーション等を通じて検証するという方法で探求します.惑星形成の後期には,惑星の破片が初期地球に多く降り積もりました.これらは海の形成や生命誕生に向けた化学進化に材料を供給し,その当時の地表環境を決めたはずです.こうした研究を実証するため,日本では小惑星探査をする「はやぶさ2」プロジェクトを進めていますが,私はその科学の取りまとめ役を担っています.

門脇誠二 (地球史学講座(博物館)教授)   (HPはこちら

地球史の一部としての人類史 〜人類進化と農耕起源の考古学〜
主に西アジアをフィールドにして,人類全体に関わる歴史イベントである1)人類進化史における旧人から新人サピエンスへの交替と2)農耕牧畜経済の出現と拡散に関する考古学研究をしています.どちらの事象も「新人が旧人より優れていたから」あるいは「農業の方が狩猟採集よりも効率的だから」など,人類進化や文化の「必然的な発達」として説明されがちですが,実際は当時の特定の自然・社会環境の下で生じた歴史的産物であり,その理由を「優劣」で判断することには多くの問題があります.その歴史を地球史の一部と捉え,文字ではなく遺跡から発掘される考古記録(遺物や遺構)から復元するために,人工物である石器や土器の形態や製作技術の分析を行うほか,人類が利用した動植物遺存体の形態学的あるいは分子生物学的な研究と協同しています.