I(化学基礎)

 
 

問題 炭酸カルシウムは天然に広く分布している化学堆積物である。水溶液から炭酸カルシウムが沈殿するための条件について考えてみる。炭酸カルシウムはわずかながら水に溶け、以下の式のような溶解平衡にある。

       CaCO3 (s) = Ca2+ (aq) + CO32-(aq)     ・・・(1) 

炭酸カルシウムの溶解度積をKspとし、炭酸イオンの濃度を決めれば、(1)式から、カルシウムイオンの濃度は一義的に定まる。一方、水溶液中で、炭酸イオンは炭酸水素イオン、炭酸と以下の式のように平衡にある。

       HCO3- + H2O = CO32- + H3O+      ・・・(2)

       H2CO3 + H2O = HCO3- + H3O+      ・・・(3)

また、炭酸の濃度は溶液に接している気相中の二酸化炭素の分圧に比例する。

     [H2CO3]= kCO2・PCO2          ・・・(4)

       (kCO2は比例定数、PCO2は二酸化炭素の分圧)

以上をもとに、水溶液はすべて理想希薄溶液にあるものとして、次の問いに答えよ。

問1:式(1)〜(4)から、固体の炭酸カルシウムと共存する溶液中のカルシウムイオン濃度(log[Ca2+])を、溶液の水素イオン濃度(pH)と気相中の二酸化炭素分圧(PCO2)の関数として表わせ。 ただし、298.15Kにおける炭酸カルシウムの溶解度積Ksp = [Ca2+] [CO32-] = 10-8.1、式(2)の解離定数K2 = 10-10.3、式(3)の解離定数K3 = 10-6.4、式(4)における比例定数k4 = 10-1.5とする。

問2:大気中の二酸化炭素の分圧を10-3.5気圧、ある水溶液中のカルシウムイオン濃度が8.8mg/Literのとき、炭酸カルシウムの沈殿が生じるのはどのような条件のときか。ただし、原子量Ca:40とする。
 

問3:定圧のもとで、温度が298.15Kから353.15Kに変化した時、炭酸カルシウムの溶解度積Kspの値が 10-8.1 からいくつに変化するかを、以下の表の値を用いて、次の2つの場合について答えよ。なお、ΔGfo、ΔHfo、So、Cpは298.15K、1atmにおける標準生成自由エネルギー、標準生成エンタルピー、標準エントロピー、定圧モル熱容量を示し、Cpの温度変化はないものとする。また、気体定数Rは8.31 (J mol-1 K-1)とする。必要であれば、ΔGfo = -RT・lnKsp、(∂H/∂T)p = Cp、 (∂S/∂T)p = Cp/T の関係式を用いよ。
 

ΔHfo/kJ mol-1
So/J mol-1 K-1
Ca2+
 -543
-53.1
CO32-
-677
 -56.9
CaCO3
-1207
+93.0

 a.ΔCp = 0と仮定した場合

 b. Ca2+イオン、CO32-イオン、CaCO3の定圧モル熱容量Cp(それぞれ-3.6 Jmol-1K-1、 -403Jmol-1K-1、108Jmol-1K-1)を考慮した場合
 

問4:鍾乳洞の鍾乳石は、「石灰岩(カルサイトCaCO3を主成分とする岩石)の地質に(A)を含んだ水が割れ目にしみ込んで石灰岩を(B)として溶かし、この水溶液が洞穴に出て、条件の変化により逆反応が起こり、再び(C)が沈殿」という反応が連続して起こった結果生じたものである。

 a.  (A)〜(C)に当てはまる物質を化学式で示せ。

  b.  下線部の反応を化学反応式で示せ。
 


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